GSX400S フロントフォーク分解




我がGSX400Sカタナも購入して早7年。
今まで一度もさわっていない。でも、最近フロントフォークのダストブーツに亀裂が入っているのを発見。まだオイル漏れはないが、ダストブーツの交換のついでにOHをしてみようと。今回は、その予行練習でヤフオクで購入した、事故車のフォークをばらしてみた。
一部の画像はクリックすると大きな画面が表示されます

予行練習のために、ぼろフォークを購入!!なんて思われそうですが、本当はインナーチューブを(チタン)コーティングにしたくて、その加工期間にバイクを立たせておく為にぼろフォークを購入したのです。

また、この予行練習ではインナーチューブを取り外す時必要な、特殊工具(Tハンドル:09940-34520)を、現物を見て自作する事も考えている。

特殊工具(Tハンドル:09940-34520)(SST)は以下の様な形をしているそうですが、形状がはっきりしません。他のHPを見るとTハンドルの先は六角などのボルトが流用できるそうですが、この絵を見る限りボルトではなさそうな。やはり現物確認が一番です。
(サービスマニュアルより抜粋)







購入したぼろフォークです。アンダーブラケットに固定される部分に曲がり、へこみがあります。
とりあえずでも、車体に取り付け可能でなければならないのに、大丈夫なのでしょうか??

 





今回はフォーク単体での作業開始ですが、通常車体よりフォークを取り外す時には車体にフォークが取り付いてる段階でトップキャップを緩めておきます。今回は、車体に取り付ける事が出来ないので、別の手段を使ってトップキャップを緩めています。







トップキャップを外しますが、最後にはバネの力で飛び出す可能性がありますので、注意して外します。
インナーチューブの中の、スペーサー、リング、バネの順番に取り出します。後は、フォークを逆さまにしてフォークオイルを抜きます。この時、インナーチューブを上下にズコズコと動かす事で内部のオイルも抜けやすくなります。
この時、スプリングの自由長を測定しておきます。使用限度:367.1mm以上に対し、実測は377mmで再利用可 。

後で気が付いたのですが、スプリングは等ピッチなのですが、よく見ると左右のバネの直径が異なります。
測定するとφ33mmとφ35mmでしたが、時すでに遅し。どちらが上か下か解りません。実車のフォーク分解時にでも、再確認しておきます。

 





本来なら、アウターとインナーの間にダストシールがあるのですが、今回のぼろフォークには付いていません。

ここまでの作業で、ダストシールとフォークオイルを交換すれば通常のメンテナンスは終了します。
ダストシールは亀裂などがない場合は再利用可能でしょう。

今回は分解作業なので、全バラにしてしまいます。
ダストシールを外したとして、以下の様な写真の姿になります。内部にはオイルシールを止めているストッパリングを外します。写真3枚目。ダストシールが無かった為か、オイルシール内の金属が錆て表面にまで錆が出てきています。

   






ここからが難関でありサービスマニュアルでは、SST(Tハンドル:09940-34520)を使うように指示されています。フォーク上部より特殊工具を挿入し、フォーク下のネジを取り外します。

   





このネジはHEXの6mmですが、奥まった場所にあるためラチェットのHEXコマでは届かないし、L型のレンチでは力が入らず、SSTがあってもネジを取り外すのは大変です。
一応フォーク底よりネジまでの距離は48mm、フォーク下の穴の大きさは18mmです。手持ちの工具ではどうにもならないので、ネットで調べます。いつもの安物工具屋(ア○トロ、ス○レート)にもちょうどいい物が無く、YショップでKTCのロングソケットがある事が解りました。値段も手頃で、KTCショップも家の近くにあるので、すぐに在庫確認をして、購入してきました。
短いのが安物で、LongがKTCです。それぞれ、HEXの部分だけで、20mmと100mmの違いがあります。







工具はそろいましたが、HEXのネジはインナーチューブ内部のシリンダに取り付けられているので、どれだけ回してもくるくる回るだけでネジは緩みません。だからSSTが必要なのです。
でも、ネットで調べるとSSTの代わりにインパクトレンチを使用するように書いてあります。ネジを緩める場合は、トルク管理は必要無いので、インパクトでも良いのですが、取り付け時にはトルク管理と言うより、インパクトの性能でのトルクでしか締め付ける事が出来ません。
だから、SSTを作りたいんですよ!!

まあ、後の事はここではどうでも良いので、とりあえずインパクトを入手します。ヤフオクで手頃な値段で、トルクも200N・mで必要十分で、無段階変速付きなのでトルク管理も少しは期待して、購入を決意。当然高価なバッテリー式ではなく、AC100V仕様です。
※車のタイヤ交換などでは、140N・m程度でOKらしいです。







ここで、作業再開と行きたいとこですが、注意することがあります。
KTCのソケットはハンドツール用であり、インパクト用ではないのです。インパクト用と、ハンドツール用の違いは何かと言うと、ソケット自体の強度が違うそうです。インパクト用は、急激な力が加わるので柔らかめの素材で、ハンドツール用は堅い素材で作られているそうです。ですから、インパクトにハンドツール用のソケットを使用すると最悪破損する可能性があるそうです。(KTC屋さん談)

上記の事を頭の隅に置きながら、作業を再開。バリバリバリーと、一瞬にしてネジが緩みました。工具にも問題なく。
外したネジには、オイル漏れ防止に銅ワッシャが付いています。銅ワッシャは要交換と思います。

ちなみに、一番最初に外したキャップボルトもインパクトで、バリバリバリーと緩めています。







これで、アウターチューブとインナーチューブが分離出来ます。しかし、オイルシールが圧入されているのでそう簡単には抜けません。アウターとインナーを同時に左右に引っ張る事で抜けるとサービスマニュアルや他のHPには書いてありますが、何回やっても抜ける様子がありません。
インナーを手で持って、アウターをプラハンで叩いても、全く....。

最後の手段、オイルシール周辺にマイナスドライバーを突っ込み、こじって徐々にオイルシールを外しました。
この間、2日。ドライバーでこじったせいで、インナーチューブは傷だらけ、オイルシールは原型が解らないほどに、ぐちゃぐちゃになってしまいました。まあ、予行練習用でとりあえず、バイクに取り付けば良いので、オイルシールなんて必要無いので結果的には良かったのですが。なぜ、うまく抜けなかったのかが問題です。オイルシールが錆びていたのが原因か、作業ミスか?....。

抜けたインナーチューブには、左側より、オイルシール、シールスペーサ、ガイドブッシュ、スライドブッシュと、インナーの内部にオイルシリンダが顔を出しています。
ガイドブッシュには内側にスライドブッシュには外側にテフロン処理がされていますが、写真ではスライドブッシュ上側のテフロン処理が少し剥げかけています。オイルシール、ガイドブッシュ、スライドブッシュは組み付け時新品交換が必要です。

 





オイルシール、シールスペーサ、ガイドブッシュ、スライドブッシュは簡単に取り外し出来ます。

   






インナーチューブにはまだオイルシリンダが顔を出したままです。
下側には抜く事が出来ないので、上側に抜こうとしても出てきません。おそらくインナーチューブのへこみ、曲がり部分に接触して出てこない様子です。ここは力技でインナー下側より木の棒を突っ込んで無理矢理抜き取りました。
実は、この企画で使用しているフォークは2本目です。1本目は最初から写真などをとりながら、いざスプリングを外そうとした時に、インナーの曲がりによりスプリングが抜けなかったので、2本目を使用して分解作業をしています。曲がったフォークを再利用する場合、分解までも出来ない場合がありますので、注意してください。見た目で曲がっていたら再利用不可ではないでしょうか。







オイルシリンダの先端部と、アウターチューブの底にあるネジが固定されているのです。
オイルシリンダにもバネやピストンリングが付いていますが、サービスマニュアルには特に記載が無いので、交換の必要性は無いと思われます。先端部のネジ穴くらいはタップで綺麗にしておいた方が良いでしょう。

 





アウターチューブ側には、オイルロックピースという、筒みたいな物が付いてきます。この筒はどうでも良さそうですが、アウターチューブ内壁の傷などは確認しておきます。
今回のは目立った傷は無かったのですが、オイルと一緒にゴミみたいな固まりが底にたまっていました。清掃程度でOKでしょう!!

   





オイルシリンダの周り止め用SSTを作るために、オイルシリンダを確認します。

うん??
丸、丸。
角張った箇所なんてどこにも無い。
オイルシリンダの底の方もライトを当てて見てみたが、丸、丸、丸。
外観では、下の方に穴が2カ所開いていますが、周り止めには無関係そうだ。
サービスマニュアルにあった絵は正解なのかも。円すい状の形状で、周囲にギザギザが付いて、オイルシリンダの丸い部分に食い込む形で使用するような感じです。
角張った箇所が無いので、どうしてもスリップすることがあり得るでしょう。そうなると、純正のSSTでは完全な締め付けや、緩めにも不安が残ります。

と、言う事で結論は、SSTは作らずにインパクトでバリバリ締め付ける!!  で決まりでしょ!!

 






オイルシリンダの先端部(SSTが入る所)を絵で描いてみました。
怪しげな寸法もついでに記載しています。







各リングとアウターチューブの位置関係です。
今回の分解とは関係ないかもしれませんが、どのような位置関係になっているか知っておいて損はありません。
(サービスマニュアルより抜粋)
                   @ガイドブッシュ(要交換部品)
                   Aシールスペーサー
                   Bオイルシール (要交換部品)
                   Cストッパリング
                   Dダストシール (要交換部品)
 





最後に分解した全部品です。







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