3.雌型の作り方





原型製作

初の行程は通常は原型より作製します。
と言うことは、何も無いところから作り始める事ですが、
僕の場合は今ある製品をFRPで作るのを基本としているので
原型は作りません。でも、今ある製品を原型近くまで整形し
型を取れるまでの行程は必要です。
今回使用したのは、既製品をそのまま使用します。
おそらく黒ゲルコート仕上げで塗装も何もしていません。

アルミテープを貼っているのは穴を隠す為ですが、当然雌型にも
アルミテープの後は残ります。穴のところは指で押さえてくぼみを
作り最後の穴あけ時の目安とします。

雌型製作


1.原型の離型処理

雌型製作の準備に入ります。まず原型にブルーワックスを塗ります。
当然乾いた後にはふき取りも行います。この作業を5回程度実施
しました。(ある本には8回と書いてある物もあります)
この時点で表面はつるつるになっていますが、この後にPVAを
塗り込みます。前のページにも書きましたが、PVAがワックスではじくため
塗り方には薄く何回も塗ります。(最初は何も知らなかったのでスポンジで
筋が残る程度に塗り込みました。これが後になって...)
この作業を怠ると、原型とFRP製品がはずれなくなりどちらかを壊す
はめになりますので、念入りにしましょう。


2.ゲルコート塗り

離型処理が終われば、FRP製作の第一番目の作業ゲルコート
塗りに入ります。作業自体は簡単です。規定量を容器に移し、
その量に合った硬化剤を入れ割り箸でぐるぐる回せばゲルコート
はできあがります。後は、ハケでぺたぺた塗っていくだけです。
ゲルコートの特性上表面はいつまでもベタベタしたままなので
重ね塗りのタイミングが全くわかりません。本などには0.8mm
程度の重ね塗りが必要と書いてありますが、そんなことは素人では
全くわかりません。とりあえずたれない程度に3回程度塗り重ねました。

乾いたかどうかの確認は触って指紋が残る程度と書いてあるのですが、
これがまた、いつまでもベタベタしまままです。2時間待っても、
3時間待ってもいっこうに変わる気配はありません。ちゃんと硬化剤を
入れたか心配になってきます。
でもいつまでも待っていたら次の作業に取りかかれなくなるので
渋々3時間ちょっと待って次の作業に入りました。
まだベタベタ状態でしたけど...
この3時間(待ち時間)を利用して貼り付けるガラス繊維を準備して
おきます。
今回は、最初にサフェースマットを1層と、#380マットを3層貼り付けます。



3.角部の処理

ガラス繊維を貼っていく前に、原型でくぼんでいる箇所にロービングを
貼り付けます。今回のフェンダーの場合はにテープを貼った箇所に
90度程度の段差でくぼんでいるのでそこに貼り付けました。
まずは適当な長さにロービングを切り3本貼り付けることにします。
2カ所あるので型6本準備します。

ロービングを貼り付ける箇所に前もってポリエステル樹脂を塗って
おきます。その後にポリエステル樹脂を塗り込んだロービングを
置いていきます。この時ハケを使ってちょうど角の所にロービング
を移動させようとしたところ、なんだかハケに黒い物がつきました。
地肌のアルミテープももろに見える様になってしましました。
やっぱりゲルコートが乾いてなっかたのでしょう。
もう後戻りは出来ないので、そんなことは無関係に作業をどんどん
進めていきます。


4.ガラス繊維の貼り込み

まずはサフェーシングマットを貼り付けます。透けて見えるほどの薄さ
なので、貼り付けは簡単そうに見えますが、Rが付いている箇所は
なかなかなじまずに苦労します。ここでもゲルコートがだんだん
はがれてきます。当然サフェーシングマットを貼り付ける前には
原型にポリエステル樹脂を塗っておきます。
サフェーシングマットの後は通常のマットを貼っていきます。
気泡が残らないように樹脂を塗っているつもりですがなかなか
気泡は抜けません。鉄ネジローラをグルグルしても全く抜ける気に
なりません。僕の場合はほとんどハケで気泡を押しつぶす様な感じで
作業しました。すべての樹脂の塗り込み、気泡取りすべて一本のハケで
終わらせました。(おそらく間違った方法だとは思いますが)

(白いぽつぽつした物はたぶん気泡では無いでしょうか)
ここまでで、FRPの貼り込み作業は終わりですが、雌型と言うことで
補強を追加します。5mm程度の合板をカウルの形に合うように切った物
をくっつけます。当然ガラスマットで付けます。この合板は一番最初に
準備していました。原型より+5mmくらい大きめに作りました。

このまま1日以上放置しましょう!!


5.だっぴ

世紀の一瞬です。型よりの取り外しです。ここの作業で製品の出来不出来
がわかります。まずは、パテを塗る時のパテヘラを数本用意し、原型と
雌型の間に差し込んでいきます。最初は傷が入るのが怖くておそるおそる
差し込んでいたのですが、全く抜ける聞かしません。仕方ないので思いっきり
ヘラを押し込んで行くとペキペキと音がなって型からはずれます。
さすがゲルコートです。ヘラを差し込んだ傷は全く付いていませんでした。

抜けた雌型をよく見るとPVAを塗った後が横線となってくっきり残っています。
光に透かして見ると、半透明なところがあります。ここはゲルコートが
剥がれているのでしょう!!


6.バリのカットおよび表面処理

できあがった雌型には少なからずバリが残ります。
これはグラインダーやジグソーなので切り取れるそうですが、
僕は万全を期してリューターで切り落としました。当然このために
25、000円以上するリューターを購入しました。
リューター使用時の注意事項
@削り粉が体調に発生するので最低でも上着は着替えること
A削り粉が発生しても良いような場所で作業すること。
(僕はお風呂場でやっています)
B削り粉の為のマスクおよび保護メガネは必要です。
Cリューターは不用意に振り回さない。(僕はリューターを
もって雌型の持ち替えなどをしていたら、雌型の中を
チュンと削ってしましました。一瞬ですがだいぶん削れます。
本来ならパテ埋めなどが必要なのですが、雌型にへこみが
出来ることは、製品を作った時に突起になるので削り落とせば
いいやと言う考えであえてそのままにしています)
トリミングが終われば、雌型の内部の表面処理に入ります。
今回はPVAの塗り後が付いているので削り落とす必要が
あります。ゲルコートは堅いのでなかなか削れません。

これでも多少は表面処理をしたつもりですが、まだ横しまが残って
います。アルミテープを貼った後も未だに残っています。
当然これらすべてきれいにして、コンパウンドを掛けて鏡面磨き
まで行いましょう。
これで雌型のできあがりです。




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